皆さんこんにちは。
サンクス運動療育クラブ 管理者 小林香絵です。
新年度が始まり、一週間ほど経ちました。家庭全体が新たな生活ペースになった家庭もあるでしょうし、特に大きな変化がない、という家庭など状況は様々でしょう。
基本的に新年度は、大人こども関わらずペースが乱れやすいタイミングです。
大人でも、仕事で新しい配属先になったり、担当が変わったりすると緊張する機会が多いですよね。
こどもたちにとっても、この変化は大きな影響のある時期です。
特に変化することが苦手な特性のあるこども達には、学校の教室の場所が変わったり、先生が変わったりと新たに直面する環境に戸惑う子も居ます。
親としては心配なことが次々頭に浮かんでしまいますよね。
今日、ブログを書いているのは、このタイミングで過去の投稿での「ヘルプとサポート」を思い出していただき、それをアレンジして活用するお話をしておきたかったからです。
このタイミングでのヘルプとサポートの使い分けで、お子さんの力がぐっと伸びることもある反面、不安感を増長させてしまう愛着面での問題も起きうるので、少しお話しをさせていただきたいと思います。
過去のブログで、ヘルプとサポートのお話をさせていただきました。
よくたとえ話で聞く表現で「魚を釣ってあげるのか、魚の釣り方を教えてあげるのか」という話を耳にされた方も多いと思います。
私たちは、相手を思いやる気持ちからその人の役に立ちたいと思い、ついつい過剰な手伝いをしてしまいがちです。
これを読まれている方は、色んな立場の方がいらっしゃるかと思います。
実際に子育てをされている親御さんだったり、新しく入ったスタッフを育成する先輩スタッフさんだったり、学校で後輩ができた学生さん、様々ですが、どの方にも共通して読んでいただけるかと思います。
まず、新しい環境で、今まで経験したことがないことに対しては、人間誰でも「わからない」というスタートがあります。
そこは、最初は教えてあげる必要があります。
(過程によっては、自分でやり方を発見させるという場面もありますが)
最初は、やり方を教えたり、どうやってやるか一緒に考えたりするところはしっかり手伝ってあげてください。
さあ、そのあとからです。
一度やり方をこどもと確認しました。そのあと、あなたはどのように行動していますか?
モタモタしているこどもに「早くしなさい!」とせかす声かけをしてしまったり、
待ちきれず自分が黙って代わりにやってしまったり、
こうしなさい、ああしなさい、と先に指示を出してしまっていませんか?
本来、相手を思ってやっている援助でも、それは「ヘルプ」となっていき、結局は
指示待ち
やってもらえると思ってしまい自分のこととして捉えにくくなる
自発的に行動しなくなる
などの状態に定着してしまいます。
新しいことを身に付ける時には
ここで「見守る」という親の「サポート」が必要なのです。
サポートは、本人に任せて放任、という意味ではなく、そばに寄り添って、行動への着手や実行を見守ってあげることです。
時には助言も必要なこともあるかと思います。その時には、行動の答えを教えるのではなく、「どうするんだったかな?」と本人に考える機会を与え、本人の口からどのようにするか答えてもらうようにするのがポイントです。
人を育てていくことは、全て代わりにやってあげることだけが優しさではなく、
時にはその親切が相手の成長を阻止しうるということを支援者はお忘れなく。
見守る事、本人に行動させることが、その人にとって新しいことを身に付ける時には最大の思いやりなのです。
ここが先に述べた「お子さんの力がぐっと伸びるチャンス」です。
気が利く支援者ほど、ヘルプになってしまいがちなので
改めて自分の日常で相手に対して行っていることがヘルプなのか、サポートなのか振り返ってみましょう。
併せてお話ししておきます。
このタイミングでのヘルプとサポートのやり方で、力が伸びる半面、不安感が増長される愛着問題も起きうる、という点でのこともお伝えしておきます。
それは、最初の「やり方を教える、やり方を一緒に考える」のプロセスの後、即、完全に見守りなしでスタートさせてしまう事です。
やり方が定着していない、やり方が分からなくなってしまったという時、頼る人が居ないことは、本人にとって孤立感を感じたり頼る人が居ない、という経験を作ってしまい、今後の人生の中で人に頼る事や協力すること、場合によっては人を信頼することにも影響を及ぼしていきます。
まずは本人の新しい環境への不安感を受け止め、スタートを安心感持って始めさせてあげてください。
急に「はい、一人でやりなさい」ではなく、徐々に手伝いを少なくしていく。
こどもたちは、新しい困難に直面するたびに、学んで育ちます。
こどもたちがいつか大人になって社会の中で活躍していくときに、自分でできることが増えていることが結果的に愛情です。
今、目の前の状況だけに囚われず、相手の未来も見据えてヘルプとサポートを行っていきましょう。
「代わりにやること、先にやってあげることが この子の成長につながるのか」
援助の前に、一旦呼吸して考える習慣を私たちもつけていきましょう。